【前編】残すデータ、残さないデータ。あなたはどう選ぶ?~気づかぬうちに溜まる身近なデータ~

コラム
データ整理

 PCやスマホの動きが遅くなっていたと思ったら、いつの間にか、空き容量が不足していた…部屋の片隅に積まれている外付けHDDが溜まっていく一方、などはありませんか。データが溜まりすぎたら、とりあえず何かを削除するか、どこかにデータを移行したりと、データを整理し始めると思います。
 今回は、その整理に関して。皆さまはデータを整理する際、どのデータを残し、どのデータを削除しますでしょうか。
 前編ではまず、日常生活における身近なデータに関して。仕事はもちろんのこと、旅行時や記念日、子どもの写真や学生時代のデータなど、日々生活を送っていると様々なデータがすぐに溜まっていきます。
 後編では実際に、日々大量のデータを扱っているプロのカメラマンの方や、企業などの組織ではどのように管理しているかを確認し、残すデータ、残さない、あるいは積極的に捨てるデータ、その差は何か、線引きについて検討していきます。

1.日々溜まるそのデータ。あなたはどうしてる?

 仕事では毎日たくさんのデータを扱いますが、もちろん、仕事以外でも日常的にデータに触れています。 ここではほんの一部ですが、溜まっていくデータをどう管理するか、その事例をあげます。以下のようなデータ、皆さまはどのように扱っていますか。


―学生時代のデータ
 皆さまは学生時代、どのようにデータを管理していたでしょうか。パソコンやスマホがない時代とは違い、今は学生も多くのデータを扱っており、すぐにPCなどにデータが溜まっていきます。
 たとえば、ゼミであるテーマについて発表しないといけない。そんなとき、様々な参考資料を探し、発表のための資料を書いては修正し、書いてはまた修正し…一つのペーパーがやっと出来上がるまでには、デスクトップに大量のフォルダとファイルができていた…。
 理系の学生であれば、日々研究データが溜まり、それをもとに作る資料も溜まっていく…研究過程のデータも重要なデータであるので、振り返るときのためにとりあえずとっておく。卒業の頃には、PCの空き容量がほとんどなくなっていた…気づいたらUSBやSDカードも溜まっていた…。このようなことも経験されたことがあるのではないでしょうか。
 それでは、大学を卒業後、奮闘して作り上げた学生時代のデータはどうしているでしょうか。もう不要だからと、全て削除しているのでしょうか。想い出のためにと、どこかにデータを移行しているでしょうか。存在すら忘れてしまい、もうどこにいったか分からないという方もいるでしょう。
 また、残しておきたいからと、外付HDDに移行したものの、その外付HDDの置き場所が分からない、ということになれば、もう削除したことと同じです。残しておきたいデータは、しっかり管理できていなければデータは”ない“ことと一緒です。したがって、データを残すときには何らかの意思(目的)をもたなければなりません。”なんとなく残しておく”、だと管理がおざなりになるからです。 それでは、何のために残すことが多いのでしょうか。
 大学院などに進学する、あるいは就職しても関連する仕事をする、という場合はわかりやすいです。また、卒業証明書や卒業論文などを就活時の自己PRの一つとしてとっておく、もしくは苦労して取り組んだ力作なので想い出としてとっておく、などでしょうか。
結局は、”自分にとって将来役に立つかも?”や、とても印象に残っているもの、そういうデータが残されていくのでしょう。


―写真
 スマホが普及することで、簡単に撮影できるようになったため、旅行や記念日などの特別な行事以外にも、どんどん写真や動画を撮影する人は多いでしょう。とくに小さいお子さまがいる方などは、日常的に多く撮影されると思います。知らないうちに、あっという間に写真が何百枚、何千枚どころか、何万枚となっていて、写真の整理に困ったことはないでしょうか。
例えば旅行中や記念日のデート、子どもの成長など、その時々にスマホで撮影したことに満足し、その瞬間を記録したことに安心し、撮影したままで終わっていませんか。スマホに写真や動画が散乱していませんか。このままだと、気づかないうちにスマホの容量を圧迫してしまいます。また、スマホに入っている写真はずっと保存できるとは限りません。ふとした瞬間に、データを失うことがあります。実際、マガジン事務局でデータ復旧の専門業者さんにインタビューした際、スマホに保存していた家族の写真などの思い出の写真を復旧してほしいという依頼が多いとおっしゃっていました※1。スマホを落としてしまった、水没してしまった、突如動かなくなってしまった、など、写真を見られなくなった原因は様々ですが、誰にでも起こること。したがってスマホ以外にも、バックアップとして写真をどこかに保存しておくことが必要です。

※1情報資産管理マガジン『データ復旧の専門業者に聞く!その作業の裏側とは!?~大切なデータを守るために重要なこと~


 ただ、バックアップをするとして、全ての写真を残しておくのが良いのでしょうか。セレクトは面倒なので、とりあえず全て残しておく、という方も多いかもしれません。
 そうであると、例えば移行先の外付HDDの空き容量が不足してきたときなど、何か削除しないといけない、あるいは、子どもの写真を整理してアルバムを作りたい、という時には、大量の写真の中から選ばなければならなくなります。

 したがって、やはり写真でも定期的な写真整理が必要で、そこで「残す写真」と「残さない写真」を選択する必要があります。
 そこで、皆さまでしたらどのような基準で写真を選んでいるでしょうか 。削除する写真を選ぶ際は、やはり構図が良くない写真、ピンとがずれている写真など、上手に撮れていない写真。もしくは思い出したくない過去の写真などでしょうか。
 写真に関しては、やはり何かしらの想いや愛着があって撮るものなので、削除する写真を選ぶのはなかなか時間がかかるかもしれません。したがって、あらかじめフォルダ分けをしておくと便利です。とりあえず、最低限日付別にフォルダ分けしておく、その中でも特に、お気に入りの写真と、とりあえずとっておきたい写真、その他の写真などとフォルダ分けする。そうすると削除する際には、古い写真の中でもさらに「その他」フォルダから選べばよいので、時間もかからず整理できます。


―オンライン授業になったら…子どもが作った想い出の作品は…?
 新型コロナウイルスの影響で、授業をオンラインにシフトしたいとう大学や高校など少なからず増えてきたことと思います。まだまだ少ないかもしれませんが、今後はオンライン授業が注目されてくるでしょうし、そうでなくても、ipadなどのIT機器を使った学校も増えてくるでしょう。
 そのような際には、授業で使ったデータはどう管理すればよいのでしょうか。もし、小学校1年からipadを使用しての授業となった場合、6年までの6年間ものデータが最終的には溜まります。 授業のデータは全てクラウドに入れていたとしても、夏休みの宿題や課題、作文はどうでしょうか。また、これまでは図工の時間に作った作品は”モノ”が多かったですが、今後、PCなどを使い、作品ば”データ”となることもあるでしょう。
 そのような課題は一旦は、先生との共有のためにクラウドに入れるとしても、卒業後、残しておきたいときもあると思います。
 そういった教育の中で生じるデータはどうするのでしょうか。どのように整理しますか。何を残しておきたいですか。子どもが頑張って作った作品や作文など、やはり想い出としてとっておきたいですね。


―PCやスマホに入ってるデータ…買い替え時が大変…
 長年使っていたPCを買い替えるとき、新しいスマホに変えるとき、データはどうしていますか。全てのデータを移行するという方もいると思いますが、実は不要なデータも多くあるのではないでしょうか。
 とりあえずまとめてデータを移した方が楽だろうと思い、まとめての移行をする方もいるかもしれませんが、データの移行は意外と時間がかかりますし、せっかくの新しいPCやスマホにまた大量のデータが溜まってしまいます。
 したがって、ここでも残すデータ、残さないデータを選ぶ必要が出てきます。PCであれば、とりあえずゴミ箱に入っているデータや、意外と不要なデータが入っていることの多いダウンロードフォルダから削除することが多いのでしょうか。また、スマホであれば、使用していないアプリのアンインストールや不要な写真の削除をすると思います。
 もし、普段から整理整頓されている方であれば、"とりあえず削除"はなくなるでしょう。やはりここでも、整理整頓が必要となってきます。

まとめ

 以上のように、日常的にも「このデータ、どうしよう」などが多々あります。容量は日々溜まるばかりなのです。それぞれのデバイスの容量には限界があるので、いつか削除しないといけないときはきます。
 そんなとき、どのデータを残し、どのデータを削除するか、その基準を決めていますか。基準を決めておくとスムーズにセレクトすることができます。多くは上記のように、どのようなデータであっても、自分にとってのそのデータの大切度、重要度で決まるかと思います。
 後編では、実際にプロの方はどうしているのか、組織の場合はどのようにしているかなどを確認していきます。

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