蓄積した情報の活用に向けて~提案型検索手法を取り入れた図研プリサイトの挑戦(前編)~

インタビュー記事
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 今回は、提案型の検索手法を取り入れている株式会社図研プリサイトの「AI実装フルオート型ナレッジソリューション」Knowledge Explorerについて、株式会社図研 事業本部長で、株式会社図研プリサイトの元代表取締役の上野泰生様(以下、上野氏)にインタビューしました。株式会社図研プリサイト マーケティング部 倉本将光様(以下、倉本氏)にもご協力頂きました。
 Knowledge Explorerは、従来、利用者が主体となって利用する文書を探していましたが、提案型の検索では、利用者が気づかない間に、必要な文書の候補を探し当ててくれます。
 インタビュアーは、株式会社ボウラインマネジメント 電子文書コンサルタントで、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会 文書情報マネージャ―認定セミナー講師を務めています溝上卓也(以下、溝上)です。
 前編では、「開発のきっかけ」、「利用者(探し手)側の限界」などについて、後編では、「KnowledgeExpoloreの開発コンセプト、進化、仕組み、利用シーン」などについてお聞きします。

溝上:2月は、JIIMAの文書情報マネージャ―の「文書活用」研究会で講演頂きどうもありがとうございました。あれからすぐにインタビューを予定させて頂いておりましたが、新型コロナウイルスの影響もあり、ZOOMインタビューに切り替えさせて頂きました。
 新型コロナウイルスの感染対策で、今はほとんどのデスクワークはテレワークへのシフトが進み始めています。テレワークでオフィス環境が分断される中、従来にも増して、情報共有や蓄積した文書の活用が重要性を持つようになってきたと思います。

1.開発のきっかけ

溝上:コンピュータ用記憶装置の製造・販売をしていた会社に勤めていた経験のある私としては、図研さんといえば、エレクトロニクス設計ソフトや設計データ管理ソフトPDM/PLMソフトを思い浮かべるのですが、検索系の製品を開発するきっかけについて教えて頂けませんか。

上野氏:検索系の製品とPDM/PLMとは、ちょっとかけ離れているように感じられるかも知れませんが、PDM/PLMといった技術情報を管理するシステムを提案していると、どうしても、お客様からは社内のナレッジを活用したいという声を多く頂きます。

 私たちが、検索に関する知識があまり無かった頃は、「私たちは箱を提供しますので、お客さまがナレッジを整理してその箱に整理して頂ければ、簡単に検索できますよ。」と提案していました。ナレッジを整理するということが実際には、大変な労力を要することに私たちは気づいていませんでした。
 しかし、実際にお客さまのお手伝いでナレッジの整理をしたことで、ナレッジの整理が大変な労力を要することを知りました。実際、過去のトラブル事例をもとに、誰でもわかる形式に資料を作成し直して、社員の皆さんから検索できるシステムの構築支援をしたことがありました。我々は多大な工数をかけて整備した環境を、お客様に引き継ぎましたが、1年も経つとメンテナンスされなくなります。ナレッジがメンテナンスされず陳腐化すると、システムとして利用されなくなります。
 製品開発という本業を持った人が、忙しい本業の合間にワーキンググループとして集まって、伝承のために文章を推敲し、トラブル集としてナレッジを残すという作業を行っていれば、繁忙期にはメンテナンスは二の次となるのも当然かもしれません。

 「形式知化されていない状態から、形式知化してPDMやPLMに登録する。」というのは、実態にそぐわないんだという事がわかったので、「人手を掛けずに、埋没している技術情報、ノウハウや知見をなんとか自動的に湧きあがらせられないだろうか。」と考えたのが、開発のきっかけです。今となっては働き方改革で残業が厳しく規制される中、時代にも背中を押してもらっていると感じます。

倉本氏:当社では形式知化を行うコンサルティングサービスも提供していますが、お金と時間がかかるので、全てのお客さんがナレッジを形式知化するには難しいのだろうとは感じています。

上野氏:製造業のお客さまのお仕事が効率化することがソリューション・ベンダーとしての我々の使命ですので、そういう意味では、この検索システムも当社の使命に沿ったものということになります。

2.利用者(探し手)側の限界

上野氏:もう一つ、検索する利用者、探し手側の限界にも気づきました。

溝上:私のいた会社でも、検索エンジンは導入されていましたが、中々思い通りの検索結果が得られなかった記憶があります。

上野氏:いくら情報があったとしても、形式知化されていたとしても、問題だと思わない人は検索しないですし、抜け漏れがあると思っていない人は探さないです。また、探そうと思っても、探すための適切な言葉、キーワードを知らないと探せないです。
 検索キーワードを仕込んだ人や探し方のコツを知っているベテランは探せても、第三者や経験の浅い人、若手では中々適切なキーワードがわかりません。また、キーワードの絞りが甘いと検索結果が多すぎて必要な文書を見つけられません。検索というのは難しい割に、大学でも検索のメソドロジーは習っていないのです。

溝上:探すという行為は、今までは近くに居るよく知っている人に聞いて、当たりを付けてから探すこともできたと思いますが、テレワークになるとそうはいかず、ますます難しくなりますね。

上野氏:テレワークでなくてもゲストエンジニアの人が簡単にはプロパーの社員に聞けないですね。今、もう半分くらいの方がゲストエンジニアです。そこも昔とは変わってきたところではないでしょうか。

溝上:最近は若手が年配者に尋ねない傾向もあり、職場内でもチャットで会話するようになってきています。そういう意味では、コミュニケーションが薄くなってきているので、人に聞いて探すというのはさらに難しくなってきていますね。

3.蓄積する情報の動向

 年代を越え蓄積された情報は、技術伝承、情報伝承、過去トラブル再発防止、創造性のネタなどに使われます。これらの情報を上手く活用することが、企業の競争力として現れます。
 古くは、情報の蓄積コスト負担が重く、どちらかというと蓄積する情報を必要最小限に絞るということに主眼が置かれてきましたが、昨今の電子データのビットコストの低下やクラウドインフラの発展により、必要かもしれない情報は吟味せず残すという感覚に変わってきています。これからは、蓄積した情報の活用に主眼を置く時代に入ってきたと考えてよいでしょう。

後編に続く

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