いよいよ本格的なテレワーク時代へ~蓄積した情報の活用に向けて~

コラム
テレワーク

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は、8都道府県を除く39の県で解除となりましたが、解除された地域でも引き続き、人との接触をできるかぎり減らすことが求められています。
 このような状況の中、多くの企業は目の前の業務をテレワークに置き換えていることと思います。このテレワークの流れは今後も継続され、後戻りはできません。今後は新しい生活様式の一環として、テレワークを上手く活用していくことが望まれます。そこで今回は一歩先んじて、テレワークに移行した環境での蓄積した情報の活用について、を考察してみます。

1.コミュニケーション不足、孤独感

 皆さまの会社でもテレワークは始まっていることと思います。いかがでしょうか。変化は出てきていますでしょうか。
 テレワークとこれまでの環境の一番の違いは、これまで職場に集合していたメンバーが、自宅等に分散し、物理的に離れてしまうということです。これまでオフィスにあった当たり前のコミュニケーションが、テレワークでは取りづらいです。仕事と仕事の間の雑談も単なる息抜きではなく、実は効果的な気分転換になっていたのかもしれません。さらには、意外な情報の交換の場であったのかもしれません。色々な情報の宝庫だったと言われる「たばこ部屋談義」も、もはや過去の遺物になるのかもしれません。
 テレワークでは、メンバー同士は業務上の必要最低限のつながりになりがちで、孤独感を感じることが多いと言われてきました。そんな中、WEB会議システムを使って、雑談会を開催する会社も出てきています。

2.希薄になってきていた世代間コミュニケーション

 かつては、会社の中にはその分野の"生き字引"という方がいたり、職場の先輩が、後輩の面倒を見て指導したり、若手社員もわからないことがあれば、上司、先輩にどんどん聞きなさいと教わったと思います。
 しかしながら最近では、「隣の人ともチャットで会話する」文化に変わってきております。また、年上の人には質問しにくい、質問すること自体がおっくうだという風潮も広まってきています。一方、年配者や社内有識者も、よかれと思った助言もハラスメントと捉えられかねないことから積極的な行動が取りづらくなってきていました。
 新型コロナウイルス危機の前から、会社内のコミュニケーションは以前と比べ、どんどん希薄になってきていました。

3.蓄積する情報の動向

 年代を越え蓄積された情報は、技術伝承、情報伝承、過去トラブル再発防止、創造性のネタなどに使われます。
 これらの情報を上手く活用することが、企業の競争力の差となります。
 これまでは、情報の蓄積のコスト負担が重く、どちらかというと蓄積する情報を必要最小限に絞るということに主眼が置かれてきましたが、昨今の電子データのビットコストの低下やクラウドインフラの発展により、必要な情報は残すという感覚に変わってきています。これからは、蓄積した情報の活用に主眼を置いてよい時代に入ってきたと考えてよいでしょう。

4.そんな時、新型コロナウイルスがやってきた 、これからの課題は何か

 そんな時、新型コロナウイルスがやってきて、テレワークへの移行を余儀なくされました。蓄積した情報を活用するには、まず、役に立つ情報を見つけ出すことが必要です。ICTでは、全文検索や、キーワード検索の技術を活用します。
 検索を行うには当たり前ながら適切な検索キーワードを知っていることが必要です。もともと世代間のギャップがあり、コミュニケーションが希薄になりつつあったところに、テレワークで個々が分断されてしまいます。
 これからは、「こんな情報が欲しい。」と言えば、「こんなキーワードで検索してください」と助言してくれるAIロボットが、かつての職場の生き字引の先輩社員に変わって必要になるのではないでしょうか。AIロボットなら気軽に質問できます。

5.解決に向けてのもう一つの課題

 検索するという行動のもう一つのやっかいな点は、「情報の存在を知らない」、「知らないから探さない」といことです。例えば、最近よくある例では、若手社員は年配者が知っていることを聞きにこないことがあります。一つには、年配者には助言を求めない風潮もありますが、「年配者が知っていること知らない」という致命的な課題もあります。
 せっかく、職場の生き字引のAIロボットを準備しても、検索しようという気持ちがないと役には立てません。これを解決する新たな手法が、「提案型検索手法」です。

6.提案型の検索手法

 提案型の検索手法は、株式会社図研プリサイトが、国内で最初にAI実装フルオート型ナレッジソリューション「Knowledge Explorer」に取り入れた手法です。
 この手法では、ユーザーが資料作成をしていると、検索依頼をしなくても、作成中の資料を自動分析して、関連深い文書・情報を提示してくれます。この手法の一番の特徴は、ユーザーは検索しない、ユーザーは必要な情報があることを知らなくてもよいという点です。
 在宅勤務で個々が分断され、集団の力が発揮しづらくなる中、従来のようなアクティブな検索方法だけではなく、提案型の検索手法も取り入れておくと、テレワークや世代間ギャップで希薄となったコミュニケーション対策ともなるのではないでしょうか。

まとめ

 テレワークの長期化により、ただでさえ世代ギャップがあった中で、メンバー個々の分断が進みます。このままでは、企業内の情報活用が停滞する恐れがあります。そこで、提案型の検索システムを活用していくことで、会社として蓄積した情報の活用度が高まり、企業の競争力アップにつながるものと考えます。

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