ファイルサーバーを肥大化から守る【後編】
―文書管理視点からのアプローチ

コラム
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中編では、ファイルサーバーを肥大化から守るためには、フォルダーごとアーカイブする「フォルダーアーカイブ」が有効であることを説明しました。

本編(後編)では、文書管理の視点から、ファイルサーバーを肥大化から守る方法を説明します。

1.ファイルサーバー内ファイルの種別

ファイルサーバー内にあるファイルを文書管理視点から分類したものが表1です。

表1 ファイルサーバー内ファイルの主な種別

2.ファイルサーバー管理における最低限の鉄則

ファイルサーバーを肥大化させないためには、ファイルサーバー内の文書を常に分類・整理された状態に保つ必要があります。いったん整理されていない状況にしてしまうと、文書数が多いだけに整理しなおすことは困難になります。肥大化させないための鉄則を2つ紹介いたします。

(1)「属人的な記録」と「組織の記録」を混ぜないこと
「組織の記録」とは、組織として残す文書として合意がとれているものです。「属人的な記録」とは、個人の都合で作成、収集した文書・情報で、「個人の記録」・「個人の想い出」とも呼ばれます。これら2つは絶対に混じらないようにする必要があります。いったん混ぜてしまうと、分別は至難の作業になります。組織によっては、「属人的な記録」をファイルサーバーに登録することを禁じているケースもあります。ファイルサーバーへの登録を許す場合も、個人別にディレクトリーを分け、容量制限する、または、登録からの保管可能年数をおおむね1年程度に制限しておくとよいでしょう。

(2)作業エリアにゴミファイルを溜めない
ファイルサーバーは、記録だけでなく、作業エリアにも使われますので、そこでは、中間生成物としてのWORKファイルが生成されることがあります。そのようなファイルは保管の必要がないので、置いておくとゴミファイルと化します。このような作業の中間生成物のファイルを溜めないことが必要です。そのためには、作業終了後、WORKファイルを即時に削除するか、定期的に削除する運用を実行することが必要です。作業エリアには、作業エリアであることが明確であるように、フォルダー名に「WORK」などの名称をつけることで、ゴミファイルの蓄積の監視がしやすくなります。

3.業務分析、業務手順の整備から「組織の記録」を識別する

どれを「組織の記録」にすべきか。法定保存文書や会社のバイタルレコード(組織の存続に必要不可欠な記録や文書)、稟議書、決裁文書など、明確に識別できるものもありますが、判断に迷うものがあることも事実です。

そのような場合、ファイルサーバーに、現在、登録されているファイルやファイル構造だけを見て判断することは好ましいとは言えません。文書管理は、業務遂行の手段であり、文書管理を目的化しないことが大切です。ですから、業務を整理し、どうすれば正確に効率的に業務を遂行するかを考えた上で、業務手順書の整備の一環で、残すべきファイルを「組織の記録」として識別することをおすすめします。

このようにすると、過去から保管してきたファイルが不要であることがわかったり、残さねばいけないファイルがもれていたことに気づける効果もあります。

なお、新規の業務が発生し、業務分析が間に合わないような場合は、いったん、「一時的な組織の記録」として2~3年保管し、その間で、部門内のコンセンサスや、業務分析を行い、組織の文書と削除にふりわけます。

4.不要ファイルの削除

ファイルの容量が過大、拡張子に認めてないものがある、ファイル名が重複している、WORKファイルが多いなどの抽出については、ファイルスリム化ツールを使用すると容易であり、これらを削除することでファイルサーバー内の不要ファイルが削除できます。

5.アクセス管理視点からの見たフォルダーアーカイブの効用

オフラインのフォルダーアーカイブを行うと、ファイルサーバーの肥大化抑制以外にも効果があります。その効果について、以下に説明します。

部門に割り当てられたアクセス権の管理は通常、部門の情報管理者が行っています。

(1)アクセス権変更業務の負担軽減
ファイルサーバーのアクセス権設定に要する時間は、アクセス権の変更を行うフォルダー以下のファイル数に依存します。アーカイブを実施することで、アクセス権変更の対象ファイル数が格段に減るので、アクセス権変更時間を各段に短縮でき、アクセス権管理業務の負担が軽くなります。

(2)機密管理水準の向上
部門に割り当てたファイルサーバーのアクセス権については、通常、部門メンバー全員に参照権以上が付与されています。登録から相当時間が経過したファイルについて部門メンバー全員にアクセス権を与えるのは、機密管理の観点からはリスクがあります。 しかしながら、職制改正やメンバー変更毎にアクセス権変更を過去のフォルダーにも実施するというのは、運用上困難な状況にあります。オフラインアーカイブすると、その読出しには必ず部門の管理者が介在するようになり、無用なアクセスを防げるので、機密管理水準が上がるのです。

まとめ

(1)文書管理視点から、ファイルサーバーの肥大化対策を説明した。
(2)アーカイブの活用はアクセス権限管理をより適切にしやすくなり、機密管理水準が向上することを説明した。

前編中編後編の3回にわたって、ファイルサーバーを肥大化から守る方法についてご紹介しましたが、いかがでしょうか。

紙文書の場合に比べ、電子文書の運用ではファイルの削除が進みづらく、ファイルサーバーが肥大化しやすいものです(前編)。そこで、紙文書での運用のいいところを電子文書にも応用する方法をご紹介しました。具体的には、フォルダー単位での管理と、フォルダーの名称に最初から登録年や登録期を入れておきアーカイブ対象フォルダーの抽出を容易にしておいたうえで、あらかじめ決めておいた年数が経過したものはフォルダごとファイルサーバー外に保存場所を移動していく方法です(中編)。ただ、ファイルは日々刻々と生成されるものですから、日々の管理が重要になります。ファイルサーバー内の文書を常に分類・整理された状態に保つために、文書管理の視点についてもご紹介しました(後編)。ぜひファイルサーバーのスリム化に役立ててください。

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