ファイルサーバーを肥大化から守る【前編】―何故、肥大化するのか

コラム
ビジネス

ファイルサーバーの容量が増えたので、不要ファイルを削除したい。過去ファイルを削除したいのだが、「登録の経緯がわからない」「登録した人は退職した」などの理由から、削除が進まない。このような悩みをお持ちではありませんか?

実は、ファイルサーバーの容量が増加し続ける「ファイルサーバー肥大化」は、あなたの職場だけではなく、日本のほとんどの職場の悩みでもあるのです。ファイルサーバーを肥大化から守るには、ファイルの削減を個人の責任や個人任せにせず、会社で、職場で、実状の確認、原因の分析を行い、対策することが大切なのです。

本編(前編)では、まず、肥大化する理由について分析し、紙文書での運用との差を明確にします。中編後編では、対策について説明いたします。

1.データ容量の増大とファイル整理工数の不足

1980年代以前は、主な記録手段が紙で、文書の作成が手書きであり、作成する人員も多くはありませんでした。そのため、作成する文書件数、文書ページ数も限られた量でした。

現在ではWORDやEXCELをはじめとした電子的な文書作成ツールや電子メール等の発展により、文書作成能力は各段にアップしており、ビジネスのスピードも極めて速くなっています。そのため、年間の電子文書の作成件数、1件当たりの容量も増加の一途をたどっており、これらがファイルサーバーに蓄積され続けているのです。

そんな中、各職場ではファイルサーバーの整理担当専任者を置くこともままならず、業務の間のわずかな時間で整理を進めているのが実態ではないでしょうか。整理に割く時間がないのですから、「ファイル削除キャンペーン」のようなファイルの削減を個人責任や個人任せにする方法をくり返しても、すぐに効果が薄れ、ファイルサーバーの肥大化を食い止めることはできなくなります。

2.肥大化したファイルサーバー内のファイルの分析結果

肥大化したファイルサーバー内のファイルのプロパティ、ファイル名、拡張子を集計して、分析すると、結果はたいてい、図1のような状況になります。

図1 ファイルサーバー肥大化要因分析結果

このうち③~⑥については、登録者を特定できれば、個別に是正できる内容であり、職場内で、ファイルの削除またはファイルの容量減が容易に実現できます。一方、①、②については、職場だけでは、なかなか進まないという傾向があります。

なお、図1のような要因分析作業を支援するツールも市販されていますので、利用すれば効率化が図れます。

3.ファイル削除が進まなくなる理由

①、②に起因するファイルの削除が進まなくなる理由は次の2つです。

(a)削除の責任を取りたくない【心理的負担】
登録から3年程度以上経つと、たいていの場合、登録した本人でもその経緯、必要性を思い出せなくなります。まして、他人が登録したもので本人がその職場にいない場合は、「ひょっとしたら、使うかもしれない」と思い削除をためらってしまいます。例えば、「○○さんの業務引継ぎフォルダー」のような場合です。

(b)確認対象が多く、確認していると通常業務が進まない【作業量的負担】
電子文書の場合、確認はファイル単位で行います。ひとつひとつのファイルを開けて、中身を確認しています。対象ファイル数が多く、通常業務を圧迫してしまい、確認作業時間がとれなくなります。さらに悪いことに、確認残りがあると、毎年、毎年、確認対象ファイルは雪ダルマ式に増えていきます。

4.紙文書での運用

1990年代からPCサーバーの導入が徐々に始まり、ここ10年~20年は文書も電子で生成、電子で保管が進みました。オフィスで紙文書を保管する機会も減っており、なじみのない方のために、紙文書の場合の運用について振り返ります。

(1)紙文書のライフサイクル
文書のライフサイクルは、「作成」、「処理」、「保管」、「保存」、「廃棄」のフェーズに分かれ、順番に進みます。事務所で、文書を活用している期間が活用期で、「保管」フェーズと呼びます。活用期が過ぎますと使用頻度がめっきり減ります。この時期が「保存」フェーズで、倉庫室や書類保管倉庫など事務所外の保管コストの低い場所に移し替えます。事務所の保管スペースには限りがありますので、この移し替えは毎年継続されていました。

図2 紙文書のライフサイクル

(2)紙文書の管理単位
発生する紙文書はバインダー等にとじます。そのバインダーを事務所の書棚や、机サイドのキャビネットなどに保管します。毎年、バインダーは増え続けるので、1年に1回定期的に、登録の古い順から、事務所に残すか(活用するか)、不要として廃棄するか、保存期限を決めてダンボール詰めして倉庫等で保存するか、の仕分けをしていました。

図3 バインダーにとじる

図4 文書保管庫にバインダーを詰める

5.紙文書の運用で保存・廃棄の負担が軽かった理由

紙文書の廃棄や倉庫保存作業は、ファイルサーバーでの削除作業に比べ、事務所のメンバーには、心理的負担、作業量的負担が少なくすんでいました。その理由は、以下の2点です。

(1)保存・廃棄の判断単位がバインダーであり、判断に必要な工数が少ない
紙文書はバインダー等にとじられていて、事務所メンバーは、文書ひとつひとつを確認するのではなく、バインダー等の背表紙を確認し、中身をペラペラとめくり、背表紙通りの文書が入っていれば、そこで保存・廃棄の判断をします。また、あらかじめ保存前提のものであれば、バインダーの背表紙には保存期間も記載しています。このように、紙文書の場合は電子文書と違って、実際にバインダー内の文書を全て再読することはありませんでした。

(2)廃棄ではなく取り寄せに時間はかかるが、保存(アーカイブ)を選択でき、心理的負担が少ない
法定保存帳票や、製造図面などのバイタルレコードは、そもそも厳密な管理をしていましたが、その他の文書についても緩やかな管理で、倉庫等での保存が許されていたため、迷いがあれば、「保存」が選択できました。このため、廃棄責任との葛藤は少なくてすみました。

まとめ

(1)ファイルサーバーの肥大化の理由を分析し、「数年以上前に登録、更新したファイル」、「最近1年間にアクセスしていないファイル」に分類されたファイルの削除が進まない理由を説明しました。

(2)紙文書での運用では、紙文書個々を扱うのではなく、バインダーにとじてバインダー単位で運用すること、また、保存フェーズを活用することで保存・廃棄の仕分け負担がファイルサーバーより軽いことを説明しました。

紙文書の場合に比べ、電子文書の運用ではファイルの削除が進みづらく、ファイルサーバーが肥大化しやすい理由がおわかりいただけたでしょうか。では、ファイルサーバーの肥大化を解決するにはどうしたらよいのでしょうか。次回(中編後編)は、対策についてご説明したいと思います。

関連記事

  • 磁気テープの保存方法―事務所保存から専門施設保存へのすすめ

    コラム

  • 「文書・情報の保存期間基準」の設定と定期見直しの必要性

    コラム

  • バックアップとアーカイブの違い―アーカイブならではの課題と対策

    コラム